十力の作用

みなさんこんばんは。
カステラ1番、電話は2番、3たび登場鈴木太二です。
みなさん3時のおやつは何が食べたいですか?
僕は最近スーパーで売ってるラムネ味のわらび餅なんか好きです。もうだいぶ暑いから涼の取れる食べ物がいいですね。
アイスぅ?
あれは冬場でコタツに入って食べるもんだ!!
でも鈴木の家にはクーラー、ヒーター、エアコン、扇風機、こたつも何もないのでした。
現代に生きる原始人…。

さて、今回は七月の遠征でも語らせていただく「虔十公園林」の「杉」について書かせてもらおうと思います。

杉って身近な植物ですけど、皆さんはどれくらいご存知ですか?
花粉症の原因
建物の材料
お線香
マニアックなとこだとお酒に香りをつけたりするのにも使われますね。吉野杉の樽酒美味しいです。

杉っていうのは人工林(林をわざわざ人工と言うのもなんですが)に1番植えられている植物で、人間ともゆかりのある植物です。材木や防風のために植えられることも多いそうですね。この辺は作中でも言及されてますが。
子供の頃皮むきして遊んだ人も多いのではないでしょうか?
成長すると50メートルにも達し、立派な杉の森は見ているだけで壮観です。

デカァァァァイ!説明不要!!
有名な屋久杉なんかは大きさこそ25メートル程ですが、その太さは天然物だけあって凄まじい太さです

今にもしゃべり出しそうですね…歴史を感じるっ!
ロボットでいうと人工杉がライディーンで屋久杉がグレンダイザー位でしょうか。
わかりづらい?

なぜこんなに人工と天然で太さが違うのかというと、生育環境ももちろんですが、人の手で植えられた木というのはすこぶる成長が悪いらしく、また感覚が短く植えられていると足元の土壌に植物が育たず緑の砂漠状態にもなるとか…。本末転倒ですね。
それはさておき、ここで我らが虔十の杉を考えて見ましょう。作中描写では「やっぱり丈が9尺ぐらいでした」とのこと。

9尺=約2・5m

小さっ!!

その後の描写でも「その杉もやっと1丈くらい」…

1丈=3・3m

君杉としてのプライド無さすぎない?
やる気あるの?
と言われてしまいそうですが、これは作中で「底は硬い粘土なんだ」と言われている通り、土壌の条件があまり良くなかったためとおもわれます。

人の手になる林であり、植物の根ざさない粘土質。おまけに杉は今生えている大体の場所に適性がない。虔十は素人でも知識が必要とわかる植林を唐突に始めたいと言い、七百本と目算も表さないような数を提示します。
有名な作品「木を植えた人」の主人公は熟練した人物であったようですし、簡単には行えない事業のはずです。
その結果といえば妥当な成長具合かもしれません。
しかも、その後村人に唆されて下枝を全て払い、盆栽のような姿にしてしまいます。

もうだめだ、おしまいだぁ…。

と、思いきや。
虔十の林は子供達の格好の遊び場となり、東京街道、ロシヤ街道などズンズン名前がつき、いつしか心の拠り所となり、20年すぎた後、人間の小賢しい感性を超えた「十力の作用」により「子供達の美しい公園地」となります。
街の近代化が進んでも残っていたことも、十力の作用と言ってもいいかもしれません。

また虔十は「実にまっすぐに、実に間隔正しく」杉を植えています。
贅沢な植え方ですがこれが実は理にかなっており
先に述べたように過密に植えたところ杉床に下層植物が育たず生物多様化が乏しくなることもなく
土がむき出しになって倒れることもなく
実はこれが山の近くなら自然と森林が生まれてくるくらいらしいです!
虔十すげぇ!
見方を変えれば小さい杉もそうそうないから可愛いですし、子供たちからすれば箱庭のような感覚すらしたかもしれませんね!
虔十からしてみれば、背が低ければ杉の葉などもつぶさに観察できたでしょう。
杉の実も虔十の目には宝石のように映ったかもしれません。

さらに、この「感覚正しく」というところがキモです
皆さん、どうか想像の翼を羽ばたかせて、視座を天高く持ち上げて見てください。

できましたか?

それでは、そのまま「まっすぐ、感覚正しく」植えられた杉林を見下ろして見てください。

どうです?まるで将棋盤か碁盤のようではありませんか?
まさしく「まるで仙人たちが後でも打つところ」のように見えるではありませんか?

虔十は意図せず豊かな環境を作り、規則正しく林を作ることで、人の目には街道に、仙人には碁盤にすら見えるような美しい林を作り上げたのです。
誰が賢く、誰が賢くないかはわかりません。
ただどこまでも、十力の作用は不思議です…。

ですが、ご存知かもしれませんが、林というものは手入れをしなければやがて枯れてしまいます。特に杉はそうです。
そんな杉が20年もの間形を残せたのは、それをただ1つの形見だからと、残された家族たちが手入れをし続けたからなのかもしれません…。
もしかしたら、お兄さんやお父さんたちは、その小さな杉に虔十の面影を見ていたのかもしれませんね。

そんな虔十の林のことを、宮沢賢治さんは美しく書き上げています。
僕は会場の皆様のイマジネーションを刺激し、どこまでその脳裏に景色を描かせることができるかはわかりませんが、精一杯をお届けしたいと存じます。

7月23日は、花巻でお会いしましょう!

太づ

7月23日(日)
ポラン寄席 10:30開演
宮沢賢治イーハトーブ館ホール
入場料:500円
お出入り自由

ポランの会 Twitter
@polan_ginga
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