水沢と晴天恣意と土神ときつね

東京は毎日暑い日が続いていますが、岩手も暑いのでしょうか!?
いよいよ今月末!みんなで岩手に行くのがホントに楽しみな彩木です。
かなりタイトなスケジュールですが3日間めいいっぱい岩手を満喫してきたいと思います。

1日目の宮沢賢治イーハトーブ館でのセミナーの後は、
◆懇親会に参加する彩木&小川
◆『火星大接近ウィークオープニングイベント』 キャッセン大船渡内 KESEN ROCK FREAKSで『よだかの星』を朗読する 美沙&渡辺萌奈
◆一人で水沢の『かふぇ小豆』さんへ向かう鈴木太二
と3つのグループに分かれます。

鈴木太二が「土神ときつね」と「晴天恣意」を朗読する。かふぇ小豆さんは、これまで2回、私もお世話になっています。さらに、9月の花巻公演の協賛のお申込みもいただいてポランの会を支えてくださっています。

店内はオーナーさんが選んだ焼き物の器がずらーっと並んでいてとてもアットホームな落ち着く空間です。さらにお料理がすっごく美味しい!
家が近かったら毎週通いたいくらい素敵なかふぇです。

こちらで朗読する『晴天恣意』という詩は、水沢ということもあって、KAHKTIMからのリクエストでした。
朗読会の後は、なんと!天候が良ければ星空案内人『ホシミネスカ』さんのガイドで星空観望会があります。大接近中の火星や、天の川に点在する夏の星を見ることが出来るかも!
・・・・羨ましか…。

童話『土神ときつね』の中にも水沢と星のお話が出てきます。

夏のはじめのある晩でした。樺には新らしい柔らかな葉がいっぱいについていゝかをりがそこら中いっぱい、空にはもう天の川がしらしらと渡り星はいちめんふるへたりゆれたり灯ったり消えたりしてゐました。
その下を狐が詩集をもって遊びに行ったのでした。仕立おろしの紺の背広を着、赤革の靴もキッキッと鳴ったのです。
「実にしづかな晩ですねえ。」
「えゝ。」樺の木はそっと返事をしました。
「蝎ぼしが向ふを這ってゐますね。あの赤い大きなやつを昔は支那では火と云ったんですよ。」
「火星とはちがふんでせうか。」
「火星とはちがひますよ。火星は惑星ですね、ところがあいつは立派な恒星なんです。」
「惑星、恒星ってどういふんですの。」
「惑星といふのはですね、自分で光らないやつです。つまりほかから光を受けてやっと光るやうに見えるんです。恒星の方は自分で光るやつなんです。お日さまなんかは勿論恒星ですね。あんなに大きくてまぶしいんですがもし途方もない遠くから見たらやっぱり小さな星に見えるんでせうね。」
「まあ、お日さまも星のうちだったんですわね。さうして見ると空にはずゐぶん沢山のお日さまが、あら、お星さまが、あらやっぱり変だわ、お日さまがあるんですね。」
狐は鷹揚に笑ひました。
「まあさうです。」
「お星さまにはどうしてあゝ赤いのや黄のや緑のやあるんでせうね。」
狐は又鷹揚に笑って腕を高く組みました。詩集はぷらぷらしましたがなかなかそれで落ちませんでした。
「星に橙や青やいろいろある訳ですか。それは斯うです。全体星といふものははじめはぼんやりした雲のやうなもんだったんです。いまの空にも沢山あります。たとへばアンドロメダにもオリオンにも猟犬座にもみんなあります。猟犬座のは渦巻きです。それから環状星雲といふのもあります。魚の口の形ですから魚口星雲とも云ひますね。そんなのが今の空にも沢山あるんです。」
「まあ、あたしいつか見たいわ。魚の口の形の星だなんてまあどんなに立派でせう。」
「それは立派ですよ。僕水沢の天文台で見ましたがね。」

きつねと樺の木の会話です。
女性はこういう男性好きですよね。
田舎育ちの樺の木の周りに西洋の風が吹いてくる中、
古臭い事を言う土神よりもオシャレなきつねに惹かれたんでしょうね。
ふと自分の胸に手をあてて考えても、黄ばんだシャツを着ている男性よりDCブランド(バブルの臭いがプンプン)の服に身を包んだ男性がかっこいいと思ったし、自分の知らない世界を語ってくれる人は素敵だと思ったし、夢が膨らんでワクワクしたかもしれません。
実際、そんなペテン師が大勢いたと思います。

その対極にいる土神については調べても調べても奥が深くて、今でも新しい発見があります。

土神の棲んでゐる所は小さな競馬場ぐらゐある、冷たい湿地で苔やからくさやみじかい蘆などが生えてゐましたが又所々にはあざみやせいの低いひどくねぢれた楊などもありました。
水がじめじめしてその表面にはあちこち赤い鉄の渋が湧きあがり見るからどろどろで気味も悪いのでした。

というところから赤い鉄の渋=鉄=岩手と鉄=鉄工所=鉄の神様
と・・・いう解釈で2007年・2012年・2017年と上演してきましたが、
赤い鉄の渋=火山噴火=岩手山麓に住まう神=山の神=古事記読まなきゃ!今読めない!
と一つ課題を残したままの作品になってしまいました。

岩手山麓だとすると木樵=三つ森山がつながるのにいままでわたしはどこを読んでいたんだろうと反省です。

鉄の神様というのは長年信じてきた解釈なので捨てがたい・・・。
初演の時に買った鉄瓶は今も大切に使っています。

水沢江刺の駅前に南部鉄器のお店を見つけたので、私のコレクションがまた増えそうです。
それでは、また岩手で!